
日本酒好きならほとんどの人が知っているであろう、
「飛露喜」。
その誕生ストーリー、現在からは想像もできないような、厳しい時代を経験しています。
そして、「飛露喜」はどのような場所で飲むことができるのか、入手困難酒は入手可能なのか。
など、「飛露喜」に迫ってみました。
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飛露喜って、どんなお酒?
かつては宿場町としてにぎわっていた福島県会津市坂下町(ばんげまち)にある、江戸時代中期から続く老舗酒蔵「株式会社廣木酒造本店」
(2019年10月に合資会社から株式会社に変更)
「飛露喜」で有名な酒蔵です。
現在の社長兼杜氏である廣木健司氏が就任する前(1990年後半)廣木酒造は廃業の危機を迎えていました。
その当時の杜氏さんの高齢による引退や、先代の急逝により廃業を覚悟したそうです。
そんな時に、NHK福島放送局から取材依頼が。
放送局側は県内の酒蔵すべてに連絡をして一番大変そうな蔵を選んだのだとか。
番組放送後、東京の地酒専門店から「本気で美味しい酒を造りたいのなら応援する。」と連絡が。
すぐに手元にあった酒を送りますが、「もっと努力してほしい。」と、厳しい注文。
そのお酒は、当時売れていた新潟の人気酒をまねて作っただけの酒、と廣木健司氏は言います。
そこから廣木健司氏は0から、いや、マイナスから酒造りを再スタートさせたのでした。
廣木健司氏の苗字「廣木」にあてた「飛露喜」には
喜びの露がほとばしる。
という意味があるそうです。
「濃密でありながら透明感と存在感のある酒を造りたい」という理念のもと、無濾過生原酒の状態で酒を出荷したのです。
「無濾過」とは、日本酒をもろみから搾った後に濾過をしていないお酒の事。
「生」は熱処理をしていない状態、いわゆる火入れの工程を経ていないもの。
「原酒」は、最後に加水調整をしていないことを指すものです。
フレッシュでありながらアルコール度数が高くパンチの効いた日本酒。
それが無濾過生原酒の特徴です。
今ではそれほど珍しくはありませんが、以前は火入れ前の日本酒を卸す事自他が非常に珍しい事でした。
しぼったままの原酒を、ろ過や熱処理など一切しない「無濾過生原酒」。
このお酒が「飛露喜」として瞬く間に人気酒へ上りつめたのです。
飛露喜のラベルは女将さん(廣木健司氏の母親)の手書きによるもの。
ブレイクし出荷本数が増えたため、今では印刷にしているそうです。
飛露喜には種類があり、それぞれに味わいが異なる。
ひとことで飛露喜と言っても色々な種類があります。
ここでは代表的な3種類をご紹介します。
特別純米酒
定価 1800ml:2860円(前後)
フルーツのような香り、スッキリした味の中に奥深い旨味を感じる。
しみじみと「旨い」と唸ってしまいます。

大吟醸
定価 1800ml:7,700円(前後)
理屈抜きで美味しいです!
飛露喜だからこそ成せる豊かな香味。

純米大吟醸
定価 720ml:2970円(前後)
落ち着きのある清楚な香り、なめらかに喉元を過ぎ、上品な旨味が残り淡く消えていく。

※価格は正規取扱店舗によって多少値段の差があります。
飛露喜が飲める場所。
全国幅広い飲食店で飲むことができますが、飲食店ならどこでも、というわけではありません。
例えば、
地酒に力を入れている。
日本酒に詳しいスタッフがいる。
日本酒を丁寧に扱っている。
日本酒に特化した店。
日本酒専門店や地酒専門店、銘酒居酒屋、店の軒下・店内に杉玉を吊るしている店は、日本酒にこだわりを持っていることが予測されます。
飛露喜は日本酒ファンの間では有名な銘柄なので、メニューに載っていたら「ラッキ~!」即注文することをおススメします。
メニューに載っていなくても在庫を持っていることがある場合がありますので、店員さんに尋ねてみるのもいいかもしれません。
数年前、福島県に酒蔵巡りに行ったときに入った居酒屋さん。
メニューにはなかったけど、日本酒がたくさん入っている冷蔵庫の中に飛露喜の山田穂を見つけてしまい、お店の方にお願いしたら快く飲ませてくださいました。

この時に飲んだ飛露喜ほどおいしい飛露喜にはいまだ出逢っていません・・・
飛露喜を購入するには。
現在のところ飛露喜の購入は、かなり難しいと思われます。
酒屋さんに通ってひたすら入荷を待つ。
酒屋さんの店頭で入荷の有無を聞く。
酒屋さんの会員になってメルマガ登録をして情報を待つ。
酒屋さんと顔なじみになって入手方法を教えていただく。
などなど、いずれもある程度の根気と時間を要します。
だからと言って待てば必ず入手できるとは限りません。
なので、入手のハードルはかなり高いと思われます。
私は数年前に会津若松市の植木屋商店というお店で、飛露喜を購入するための受付をさせて頂き、整理券のようなものを頂きました。
「購入はいつになるかわからないけどいいですか?2か月後か5か月後か、わからないですけど・・・」
と、お店の方も飛露喜が入ってくる時期というか、タイミングがまったくわからないとのことでした。

「もちろん、待ちますのでよろしくおねがいします。」と受付させていただきました。
実際に購入できたのは、それから半年以上経ってからです。
種類の指定はできなかったのですが、手元に来たのは特別純米酒でした。
待ち焦がれていた飛露喜にやっと会えた~!
って感じで、一升瓶を抱きしめました(笑)
酒屋さんの実店舗で購入するには、たくさんの種類を取り扱っている地酒取扱店や正規取扱店を選ぶのがポイントです。
飛露喜は生産量が限られているので、正規取扱店の酒屋さんでさえ入手がむずかしいそうです。
(会津若松市の植木屋商店さんで購入できたのは数年前の事なので、今現在も受付をしているかどうかはわかりかねます。
気になる方はお問い合わせてみてください。)
㈲植木屋商店
住所
〒965-0035
福島県会津若松市馬場町1番35号
TEL/FAX
0242-22-0215
定休日
毎週日曜日
営業時間
AM 9:30 ~ PM 7:30
同じく地元会津若松市にある「渡辺宗太商店」。
こちらの商店では数多くの全国の地酒を取り扱っています。
頒布会もあり、渡辺宗太郎商店オリジナルのお酒を中心に厳選したお酒が、令和2年12月からの5か月間、毎月1.8L 2本セットで、お手元に届く全5回の定期購入です。
今回は最終月に飛露喜購入の特典がついています。
このように「飛露喜アンテナ」を張り巡らせながら飛露喜を探すのもひとつです。
飛露喜購入通販サイト
大手通販サイトでも購入は可能ですが、価格が高価になりがちです。
なので、すぐに手に入るのなら値段は気にしないという方、または値段は気になるけれど早く飲んでみたい、という方は通販での購入がおすすめです。
入手困難な飛露喜は通販サイトでも品切れになることが多いので、こまめにチェックしてみてください。
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毎日の晩酌は日本酒が多いのですが、飛露喜はめったに手に入らないので飲めた時の感動はひとしおです。
福島会津のお酒は飛露喜だけではなく、ほかにもたくさんあります。
福島会津のお酒は、優しくて繊細で力強い。
その土地の気候や水、米、蔵人の想い。
これらの完成形が味わいに表れるのでしょうね。
飛露喜がその代表格なのではないかと、私は思っています。
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